小倉名画座②上映作品のご案内
新ハッテンバ・ラブ・ストーリー (11月19日(火)まで上映)
◆解説◆
1990年、『奴隷調教ドラゴンファクトリーの男たち』で彗星の如くデビューした、石井基正。その後『ハッテンバ・ラブ・ストーリー』、『ほんとうの空色』などの秀作で主役を演じ、一躍ゲイ映画界のスーパースターになった。うっとりするほどの端整な顔立ち、引き締まった美しい身体、そしてシャープな演技力。もう、その人気は圧倒的だった。もっとも石井基正本人は、新宿などで歩いていると、何人ものファンの人に追いまわされて大変だったそうだが。
そんな石井基正は、ある日突然、俳優を廃業してしまった。まさに彗星のように、この世界からリタイアしていってしまった。
さて、山本竜二監督。俳優としてピンク映画、ゲイ映画、AVなど、H系文化には欠かせない人だったが、その芸歴を認めた大手芸能プロダクションに所属することになり、成人映画業界を引退せざるをえなくなってしまった。彼は、ほんとうに愛していたこの業界の、その最後の仕事に、もっとも思い入れのあるゲイ映画の監督を選択。そして前作『ハッテンバ・ラブ・ストーリー』で描ききれなかったハッテンバでのHOMOHOMO模様を、より深めるために続編の製作を決定。その主役には、石井基正以外考えられないと、引退した彼を説得して、6年ぶりにスクリーン復帰させたのがこの作品なのだ。
つまり、この『新・ハッテンバ・ラブストーリー』はHOMO映画にとって一つの時代を築いた、二人のほんとうの引退映画となった。
その象徴はラストシーン。そんな事情を知って見ると、より深く、グッと迫ってくる名シーンだ。いや、そんなこと知らなくっても、十分楽しめる娯楽映画ではあるが…。
山本竜二監督作品のもう一つの楽しみは、監督自身のこれまでの人脈から実現する意外なキャスト。この作品も場面場面で、エッ!という人が登場している。さて、何人分るだろうか?でもこれはちょっと通すぎる楽しみではあるけども。
ちょっと切ないゲイの気持ち。監督の狙いを石井基正は、的確に表現し、この作品はまさに忘れられない映画となった。ジャパニーズ・ゲイムービーの記念碑的作品と、石井基正と山本竜二という二人に、その言葉を贈りたい、そんな気持ちになる映画だ。
それにしても、石井基正は美しい。彼の美しさは、こうして永遠にフィルムに焼き付けられた。それはまた僕らの、永遠の宝物であるに違いない。
なお、残念ながらこの作品の上映中に映画館にこれない方、興味があるんだが遠方なのでという方、この作品はビデオでも見ることが出来ます。
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◆スタッフ・キャスト◆
[監督]山本竜二 [脚本]月岡よみ [撮影]下元哲 [照明]伊和手健 [製作・配給]ENKプロモーション
[出演]石井基正、山本竜二、熊谷孝文、木本博文、木澤雅博、山科薫、池島ゆたか、森山龍二、田口あゆみ、槇原めぐみ、秋山豊、吉村卓、渡辺幸次、鈴木裕太、神戸顕一
さすらい (11月26日(火)まで上映)
◆解説◆
ピ~ンと一本スジ入りで、義理に固くて、心がデカイ。
たまにはブラブラするけれど、結局ボクは惚れているよ。
ちょっとスケベなおやっさん。
乗っ取られる寸前の宿に流れ着いた詐欺師のオヤジとその弟子の2人組。一宿一飯の礼として、その宿の主人に協力することにした。乗っ取りに来た男がゲイだと知った2人は、宿を救うため、弟子をエサに男色家を罠に嵌めることにしたが…。
ちょっとホロリとさせられるエロティック映画。全編信州ロケ作品。
◆スタッフ・キャスト◆
[監督・脚本]小林悟 [撮影]柳田友貴 [照明]矢竹正知 [助監督]堀禎一 [製作]シネコスモジャパン [製作協力]オーピー映画 [配給]大蔵映画株式会社 [提供]オーピー映画
[出演]河合純、港雄一、坂入正三、牧村耕次、山本清彦、沢まどか、板垣有美